○豊根村文化財保護条例

昭和52年10月5日

条例第21号

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第98条第2項の規定に基づき、豊根村の区域内に存する文化財のうち重要なものについて、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって村民の文化向上に資するとともに我が国の文化の進歩に貢献することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例で「文化財」とは、法及び愛知県文化財保護条例(昭和51年愛知県条例第6号。以下「県条例」という。)の規定により指定を受けた文化財以外の文化財で次の各号に掲げるものをいう。

(1) 建築物、伝統的建造物群地域、絵画、彫刻、工芸品、典籍、筆跡、古文書その他の有形の文化的所産で歴史上又は芸術上価値の高いもの及び考古資料(以下「有形文化財」という。)

(2) 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)

(3) 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習芸能及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で村民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)

(4) 貝塚、古墳、城跡、旧宅その他の遺跡で歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋りょう、峡谷、山岳その他の名勝地で芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で学術上価値の高いもの、また技術技能保持者とその保持団体(以下「記念物」という。)

(財産権等の尊重及び他の公益との調整)

第3条 豊根村教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の執行に当たっては関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。

第2章 村指定有形文化財

(指定)

第4条 教育委員会は、有形文化財のうち村にとっても重要なものを村長と協議の上、豊根村指定有形文化財(以下「村指定有形文化財」という。)に指定することができる。

2 前項の規定による指定をするには、教育委員会はあらかじめ、指定しようとする有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権原に基づく占有者が判明しないときは、この限りでない。

3 第1項の規定による指定をするには、教育委員会はあらかじめ豊根村文化財審議会の意見を聞くものとする。

4 第1項の規定により指定したときは、教育委員会は、その旨を公示するとともに、当該村指定文化財の所有者に指定書を交付し、権原に基づく占有者には通知しなければならない。

5 第1項の規定による指定は、前項の公示があった日からその効力を生ずる。

(解除)

第5条 村指定有形文化財が村指定有形文化財としての価値を失った場合その他特殊の事由があるときは、教育委員会は村長と協議の上、その指定を解除することができる。

2 前項の規定による指定の解除には、前条第3項及び第4項の規定を準用する。

3 村指定有形文化財については、法第27条第1項の規定による重要文化財又は県条例第4条第1項の規定による県指定有形文化財の指定があったときは、当該村指定有形文化財の指定は、解除されたものとする。

4 第1項及び前項の規定によりその指定を解除したときは、教育委員会は、その旨を公示するとともに当該村指定有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者に通知しなければならない。

5 前項の通知を受けたときは、所有者は速やかに村指定有形文化財の指定書を教育委員会に返付しなければならない。

(所有者の管理義務及び管理責任者)

第6条 村指定有形文化財の所有者は、この条例並びにこれに基づく教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、村指定有形文化財を管理しなければならない。

2 村指定有形文化財の所有者は、特別の事情があるときはもっぱら自己に代り、当該村指定有形文化財の管理の責に任ずべき者(以下この章においては「管理責任者」という。)を選任することができる。

3 管理責任者については、第1項の規定を準用する。

(届出)

第7条 村指定有形文化財の所有者又は管理責任者は、次に掲げる事項に該当するときは、速やかに教育委員会に届け出なければならない。

(1) 所有者が変更したとき。

(2) 管理責任者を選任又は解任したとき。

(3) 所有者又は管理者がその氏名又は住所(法人にあってはその名称、商号)を変更したとき。

(4) 村指定有形文化財の全部又は一部が滅失し、棄損し、亡失し、又は盗みとられたとき。

(5) 村指定有形文化財の所在の場所を変更したとき。

(管理又は修理の補助)

第8条 村指定有形文化財の管理又は修理に要する経費は、所有者の負担とする。ただし、多額の経費を要し、所有者がその負担に堪えないときは、その経費の一部に充てさせるため、村は所有者に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。

2 前項の補助金を交付する場合には、教育委員会はその補助の条件として管理又は修理に関し必要な事項を指示することができる。

(管理又は修理に関する勧告)

第9条 村指定有形文化財の管理が適当でないため、当該村指定有形文化財が滅失し、棄損し、又は盗みとられるおそれがあると認められるときは、教育委員会は、所有者又は管理責任者に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し、必要な措置を勧告することができる。

2 前項の規定による勧告に基づいてする措置又は修理のために要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を村の負担とすることができる。

(有償譲渡の場合の納付金)

第10条 村が修理又は管理に関し、必要な措置(以下この条例において「修理等」という。)につき、第8条の規定により補助金を交付し、又は前条の規定により費用を負担した村指定有形文化財を有償で譲り渡した場合においては、当該補助金又は負担金の額の合計額から当該修理等が行われた後当該村指定有形文化財の修理等のため、自己の費した金額を控除して得た金額を村に納付しなければならない。ただし、教育委員会において、特殊の事由があると認める場合は、納付すべき金額の全部又は一部の納付を免除することができる。

(現状変更の制限)

第11条 村指定有形文化財の現状を変更しようとするときは、あらかじめ教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、教育委員会規則の定める範囲の維持の措置をする場合は、この限りでない。

2 前項ただし書に規定する維持の措置は、教育委員会規則で決める。

3 教育委員会は、現状変更について指示することができる。

4 許可の条件に従わないときは、行為を停止し、又は許可を取り消すことができる。

(修理の届出)

第12条 村指定有形文化財を修理しようとするときは、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(公開)

第13条 教育委員会は、村指定有形文化財の所有者に対し6か月以内の期間に限って教育委員会の行う公開の用に供するため、当該村指定有形文化財を出品することを勧告することができる。

2 教育委員会は、村指定有形文化財の所有者に対し、3か月以内の期間を限って、当該村指定有形文化財の公開を勧告することができる。

(調査)

第14条 教育委員会は、必要があると認めるときは所有者又は管理責任者に対し、当該村指定有形文化財の現状若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。

(所有者変更に伴う権利義務の承継)

第15条 村指定有形文化財の所有者が変更したときは、新所有者は当該村指定有形文化財に関し、この条例に基づいてする教育委員会の勧告指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。

2 前項の場合には、旧所有者は、当該村指定有形文化財の引渡と同時にその指定書を新所有者に引き渡さなければならない。

第3章 村指定無形文化財

(指定)

第16条 教育委員会は、無形文化財のうち村にとって重要なものを村長と協議の上、豊根村指定無形文化財(以下「村指定無形文化財」という。)に指定することができる。

2 教育委員会は、前項の規定による指定に当たっては、村長と協議の上、当該村指定無形文化財の保持者又は保持団体を認定しなければならない。

3 第1項の規定による指定又は前項の規定による認定をするには、あらかじめ豊根村文化財審議会の意見を聞くものとする。

4 第1項の規定による指定は、その旨を公示するとともに当該村指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定しようとする者に通知して行う。

(解除)

第17条 村指定無形文化財が村指定無形文化財としての価値を失った場合その他特殊の事由があるときは、教育委員会は村長と協議の上、その指定を解除することができる。

2 保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合その他特殊の事由があるとき、また保持団体として適当でないときは、その認定を解除することができる。

3 第1項の規定による指定の解除又は前項の規定による認定の解除には、前条第3項の規定を準用する。

4 村指定無形文化財について法第56条の3第1項の規定による重要無形文化財又は県条例第18条第1項の規定による県指定無形文化財の指定があったときは、当該村指定無形文化財の指定は解除されたものとする。

5 第1項及び前項の規定による指定解除又は第2項の規定による認定の解除は、その旨を公示するとともに、当該村指定無形文化財の保持団体、保持者に通知して行う。

(届出)

第18条 保持団体が名称を変更したとき、保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したときは、その相続人は速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(保存)

第19条 村指定無形文化財のうち特に価値の高いもので、その保存のため必要あると認めるものについては、村は保持団体、保持者又はその保存に当たることを適当と認める者に対して、予算の範囲内で補助金を交付し、又は資料のあっ旋その他適当な助成の措置を講じることができる。

2 前項の規定により補助金を交付する場合には、第8条第2項の規定を準用する。

(公開)

第20条 教育委員会は、村指定無形文化財の保持者に対し、村指定無形文化財の公開を村指定無形文化財の記録の所有者に対し、その記録の公開を勧告することができる。

第4章 村指定民俗文化財

(指定)

第21条 教育委員会は、有形の民俗文化財のうち村にとって重要なものを村長と協議の上、豊根村指定民俗文化財(以下「村指定民俗文化財」という。)に指定することができる。

2 前項の規定による指定には、第4条第2項第3項及び第4項の規定を準用する。

(解除)

第22条 村指定民俗文化財が村指定民俗文化財としての価値を失った場合その他特殊の事由があるときは、教育委員会は、村長と協議の上、その指定を解除することができる。

2 村指定民俗文化財については、法第56条の10第1項の規定による重要民俗文化財又は県条例第24条第1項の規定による県指定民俗文化財の指定があったときは、当該村指定民俗文化財の指定は解除されたものとする。

3 第1項の規定による指定の解除には、第5条第2項第4項及び第5項の規定を、前項の場合には、同条第4項及び第5項の規定を準用する。

(現状変更の制限)

第23条 村指定民俗文化財の現状を変更しようとする者は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(準用)

第24条 第6条から第10条まで及び第12条から第15条までの規定は、村指定民俗文化財について準用する。

(無形民俗文化財の保存)

第25条 無形民俗文化財については、第19条の規定を準用する。

第5章 村指定史跡名勝天然記念物

(指定)

第26条 教育委員会は、記念物のうち村にとっても重要なものを村長と協議の上豊根村指定史跡、豊根村指定名勝又は豊根村指定天然記念物(以下「村指定史跡名勝天然記念物」と称する。)に指定することができる。

2 前項の規定による指定には、第4条第2項から第4項までの規定を準用する。

(解除)

第27条 村指定史跡名勝天然記念物がその価値を失った場合、その他特殊の事由があるときは、教育委員会は、村長と協議の上その指定を解除することができる。

2 村指定史跡名勝天然記念物について法第69条第1項の規定による史跡、名勝若しくは天然記念物又は県条例第29条第1項の規定による県指定史跡、県指定名勝又は県指定天然記念物の指定があったときは、当該村指定史跡名勝天然記念物の指定は解除されたものとする。

3 第1項の規定による指定の解除には、第5条第2項及び第4項の規定を、前項の場合には、同条第4項の規定を準用する。

(標識等の設置)

第28条 村指定史跡名勝天然記念物の所有者は、当該村指定史跡名勝天然記念物の管理のため必要な程度において環境に調和するよう標識、説明板、境界標、囲さくその他の施設を設置するものとする。

(土地異動の届出)

第29条 村指定史跡名勝天然記念物の指定地域内の土地について、その土地の所在、地番地目又は地積に異動があったときは、所有者(次条で準用する第6条第2項の規定により選任した管理責任者がある場合は、その者)は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(準用)

第30条 第6条第7条第1号から第4号まで、第8条から第12条まで、第14条及び第15条の規定は、村指定史跡名勝天然記念物について準用する。

第5章の2 村選定保存技術

(選定等)

第31条 教育委員会は、村内に存する伝統的な技術又は技能で文化財の保存のため、欠くことのできないものは、豊根村選定保存技術・技能として選定することができる。

2 教育委員会は、前項の規定により選定するに当たっては、村選定保存技術の保持者、保存団体で代表者、管理人の定めるものを認定しなければならない。

3 村選定保存技術についての前項の認定は、保持者と保存団体とを併せてすることができる。

4 第1項の規定による選定、第2項の規定による認定は、第16条第3項から第4項までの規定を準用する。

(解除)

第32条 教育委員会は、村選定保存技術について保存の措置を講ずる必要がなくなったとき、その他特殊の理由があるときは、その選定を解除することができる。

2 教育委員会は、保持者の心身の故障のため、保持者として適当でなくなったと認められた場合保存団体として適当でなくなった場合その他特殊の理由があるときは保持者、保存団体の認定を解除することができる。

3 前項の場合は、第17条第3項の規定を準用する。

4 村選定保存技術について法第83条7第1項の選定があったときは、当該村選定は解除されたものとみなす。

5 前項の場合は、第17条第5項を準用する。

6 前条第2項の認定が保持者のみについてなされた場合そのすべてが死亡したとき、同項の認定が保存団体のみについてなされた場合にあっては、そのすべてが解散したときは、村選定保存技術の選定されたものとする。この場合は、告示しなければならない。

(保持者の氏名変更)

第33条 保持者、保存団体には第18条の規定を準用する。この場合において同条中、「代表者」とあるのは、「代表者又は管理人」と読み替えるものとする。

(記録の作成等の措置)

第33条の2 教育委員会は、村選定技術の保存のため必要があるときは、自ら記録を作成し、又は伝承者の養成のため適当な措置をとることができる。

第6章 補則

(補助金の返還)

第34条 教育委員会は、この条例の規定により補助金の交付を受けた所有者が、この条例に基づいて付した条件に違反したときその他特殊の事由があると認めるときは、補助金の全部又は一部の返還を命ずることができる。

(委任)

第35条 この条例の施行について必要な事項は、教育委員会が定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(富山村の編入に伴う経過措置)

2 富山村の編入の日の前日までに、富山村文化財保護条例(昭和55年富山村条例第18号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされた処分、手続その他の行為とみなす。

(平成17年条例第82号)

この条例は、平成17年11月27日から施行する。

豊根村文化財保護条例

昭和52年10月5日 条例第21号

(平成17年11月27日施行)

体系情報
第7編 育/第5章 文化財
沿革情報
昭和52年10月5日 条例第21号
平成17年11月9日 条例第82号