○障害を理由とする差別の解消の推進に関する豊根村職員対応要領

令和3年6月17日

訓令第3号

(目的)

第1条 この要領は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項の規定に基づき、法第7条に規定する事項に関し、豊根村職員(非常勤職員を含む。以下「職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めることを目的とする。

(用語)

第2条 この要領において使用する用語は、法において使用する用語の例による。

(対象となる障害者)

第3条 この要領において、対象となる障害者は、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」という。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

(不当な差別的取扱いの禁止)

第4条 職員は、法第7条第1項の規定に基づき、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。この場合において、職員は、別紙の第1から第3までに定める事項に留意するものとする。

(合理的配慮の提供)

第5条 職員は、法第7条第2項の規定に基づき、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。この場合において、職員は、別紙の第4から第6までに定める事項に留意するものとする。

(監督者の責務)

第6条 職員のうち、課長相当職以上の地位にある者(以下「監督者」という。)は、前2条に定める事項に関し、次に掲げる事項を実施しなければならない

(1) 日常の執務を通じた指導等により、その監督する職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。

(2) 障害者及びその家族その他の関係者(以下「障害者等」という。)から職員による不当な差別的取扱い又は職員の合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申出等(以下「相談等」という。)があった場合は、迅速に状況を確認すること。

(3) 合理的配慮の提供の必要性が確認された場合は、監督する職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。

2 監督者は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対処しなければならない。

(相談体制の整備)

第7条 障害を理由とする差別に関する障害者及びその家族その他関係者からの相談等に的確に対応するための相談窓口は、豊根村役場住民課とする。

2 相談等を受ける場合は、性別、年齢、障害の状態等に配慮するとともに、対面、電話、ファクシミリ及び電子メールに加え、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要となる多様な手段を可能な範囲で用いて対応するものとする。

3 第1項の相談窓口に寄せられた相談等は、相談者のプライバシーに配慮しつつ関係者間で情報共有を図り、対処する必要があると認めるときは、速やかに是正措置、再発防止策等を講じ、以後の相談等において活用することとする。

4 第1項の相談窓口は、必要に応じ、充実を図るよう努めるものとする。

(研修及び啓発)

第8条 村は、職員に対し、必要な研修及び啓発を行うものとする。

2 前項の啓発を行うに当たっては、職員に障害の特性を理解させるとともに、障害者に適切に対応させるため、意識の啓発を図るものとする。

3 村は、新たに職員となった者に対し、障害を理由とする差別の解消に関する基本的な事項について理解させるため、研修を実施するものとする。

この要領は、令和3年7月1日から施行する。

別紙(第4条、第5条関係)

障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領に係る留意事項

第1 不当な差別的取扱いの基本的な考え方

法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービス若しくは各種機会の提供を拒否すること又はこれらの提供に当たって場所、時間帯等を制限すること、障害者でない者に対しては付さない条件を付けること等により、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。ただし、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)をすること及び合理的配慮を提供する等のために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。

このように、不当な差別的取扱いとは、問題となる事務又は事業について、本質的に関係する諸事情が同じであるにもかかわらず、正当な理由なく、障害者を障害者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。

第2 正当な理由の判断の視点

第1の正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービス又は各種機会の提供を拒否する等の取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないといえる場合である。職員は、正当な理由に相当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈する等して法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、障害者及び第三者の権利利益(安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)、事務又は事業の目的、内容及び機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的かつ客観的に判断することが必要である。

また、職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。

第3 不当な差別的取扱いの具体例

不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は、付表第1のとおりである。同表の具体例は、正当な理由が存在しないことを前提としていること、さらに、これらはあくまでも例示であり、具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。

第4 合理的配慮の基本的な考え方

1 法的義務

障害者の権利に関する条約(平成26年条約第1号。以下「権利条約」という。)第2条において、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。

法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等に対し、その事務又は事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合理的配慮を提供することを求めている。合理的配慮は、障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。

合理的配慮は、事務又は事業の目的、内容及び機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、並びに事務又は事業の目的、内容及び機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。

2 多様性、個別性

合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面等に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。

3 意思の表明

意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振り、サイン等による合図、触覚による意思伝達等、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる点に留意する必要がある。

また、障害者からの意思の表明のみでなく、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)等により本人の意思の表明が困難な場合には、障害者の家族、支援者・介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。

なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、支援者・介助者、法定代理人等を伴っていない場合等、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。

4 環境の整備

合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等は、提供する合理的配慮の見直しを適宜行うことが重要である。

5 委託等をする場合

事務又は事業の一環として実施する業務を事業者に委託等をする場合は、委託等の条件に、この要領を踏まえた合理的配慮の提供を盛り込むよう努めることが望ましい。

第5 過重な負担の基本的な考え方

過重な負担については、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、次の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的かつ客観的に判断することが必要である。職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。

(1) 事務又は事業への影響の程度(事務又は事業の目的、内容又は機能を損なうか否か)

(2) 物理的・技術的制約、人的な又は体制上の制約等を考慮した実現可能性の程度

(3) 費用・負担の程度

第6 合理的配慮の具体例

合理的配慮の具体例は、付表第2のとおりである。同表の具体例は、別紙の第5の過重な負担が存在しないことを前提としていること、また、これらはあくまでも例示であり、具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。

付表第1(別紙第3関係)

不当な差別的取扱いに当たり得る具体例

具体例

1 障害を理由に窓口対応を拒否する。

2 障害を理由に対応の順序を後回しにする。

3 障害を理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。

4 障害を理由に説明会、シンポジウム等への出席を拒む。

5 事務若しくは事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害を理由に、来庁の際に付添い者の同行を求めるなどの条件を付け、又は特に支障がないにもかかわらず、付添い者の同行を拒む。

6 身体障害者補助犬の同伴を拒否する。

7 障害を理由に行事、娯楽等への参加を制限する。

8 障害を理由に年齢相当のクラスに所属させない。

9 本人を無視して、介助者や付添い者のみに話しかける。

10 大人の障害者に対して、幼児の言葉で接する。

11 わずらわしそうな態度をとり、又は障害者を傷つけるような言葉をかける。

付表第2(別紙第6関係)

合理的配慮に当たり得る配慮の具体例

1 物理的環境への配慮

具体例

1 段差がある場合に、車椅子利用者に対し、キャスター上げ等の補助をする。

携帯スロープがある施設では必要に応じて携帯スロープを渡す。

2 配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す。パンフレット等の位置を分かりやすく伝える。

3 目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩く。前後・左右・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞く。

4 障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を扉付近にする。

5 車椅子を配置している施設では必要に応じて利用を案内する。

6 多目的トイレが設置されている施設では必要に応じて案内する。

7 疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申出があった場合で、別室の確保が困難であるときは、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設ける等の対応をする。

8 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さえ、又はバインダー等の固定器具を提供する。

9 災害や事故が発生した際、館内放送等で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障害者に対し、手書きのボード等を用いて、分かりやすく案内し、誘導を図る。

2 意思疎通の配慮

具体例

1 筆談、読み上げ、手話、身振り、口話、点字、拡大文字等のコミュニケーション手段を用いる。なお、筆談をする際には、簡潔な言葉を使う、二重否定表現など難しい言い回しは避ける、携帯電話画面の利用など読みやすい文字を使うといった点に留意する。

2 会議資料等について、点字、拡大文字等で作成する際に、各々の媒体間でぺージ番号等が異なり得ることに留意して使用する。

3 視覚障害のある委員に会議資料等を事前送付する際は、読み上げソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。

4 意思疎通が不得意な障害者に対し、実物や絵カード等を活用して本人に分かる方法で意思を確認する。

5 駐車場等で、通常、口頭で行う案内を、紙にメモをして渡す。

6 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示し、又は分かりやすい記述で伝達する。本人の依頼がある場合には、代読や代筆といった配慮を行う。

7 比喩表現等が苦手な障害者に対し、比喩や暗喩、二重否定表現等を用いずに具体的に説明する。

8 障害者から申出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。

9 会議の進行に当たり、資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚又は聴覚に障害のある委員や知的障害を持つ委員に対し、ゆっくり、丁寧な進行を心掛けるなどの配慮を行う。

10 会議の進行に当たっては、職員等が委員の障害の特性に合ったサポートをする等の配慮を行う。

3 ルール・慣行の柔軟な変更

具体例

1 順番を待つことが苦手な障害者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続きの順番を入れ替える。

2 障害者が立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで別室や席を用意する。

3 スクリーン、手話通訳者、要約筆記、板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保する。

4 車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。

5 障害者の来庁が多数見込まれる場合は、敷地内の駐車場等において、通常、障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更する。

6 他人との接触又は多人数の中にいることによる緊張等により、発作等がある場合は、当該障害者に説明の上、障害の特性や施設の状況に応じて別室を準備する。

7 非公表の会議又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障害のある委員の理解を援助する者の同席を認める。

障害を理由とする差別の解消の推進に関する豊根村職員対応要領

令和3年6月17日 訓令第3号

(令和3年7月1日施行)